大澤研究室にようこそ!

データを利活用するビジネスの全体設計に取り込む研究室です。データ市場を中心に、スーパーマーケット、金融市場、まちのウィルネスを、「データ連成」によってデザインしてゆきます。「データが価値を生み出す」「データは21世紀のオイル」といわれますが、実際はデータはあくまでミカンの皮のように世の中の事象・状況・行為の表層的な観測結果にすぎません。価値を生むためには、ミカンそのものの特性を理解し、その実をどう育てるかを考える必要があります。また、データを組み合わせるのではなく、ミカンの実や種や遺伝子を交配して新しい実を作ることを考えるべきでしょう。この考え方が、データ連成です。

これらの研究では、人間の創造能力を高め、現実世界のシナリオを捉え、そして未来を創る興奮と喜びがあります。 様々な世界の「チャンス」(後述のチャンス発見参照)を見つけ出すためのアルゴリズム、認知科学、創造的システムデザイン、意思決定支援、経営情報学について研究したい人は訪ねて来て下さい。

01創造的データ市場とデータ連成イノベーション

  • データ取引に定価はつけられません。取引価格は、データを用いてデザインされる物やサービスの価値から逆算して得られる副産物にすぎないので、研究室ではデータを用いた創造物の価値に焦点をあてます。また、データは流れてゆくものではなく、取引相手の信頼性やデータの利活用方法を認識した上で価値交換の形でのみ提供されるべきものです。

  • 市場変化の説明(株式市場の場合):一本の「糸」だけで市場全体と一銘柄の変化を同時に説明し、上下動の予兆を捉えます。

  • Innovators' Marketplace on Data Jackets - on online version: データに対するニーズとシーズを繋ぐ、世界に先駆けたゲーム型の価値交換プラットフォームです。

  • 社会シミュレーション:大澤論文 “Stay with Your Community”が新型コロナ対策政策に直結しました。たとえば私たちが動くと発生する人データは、データが蓄積してから利用目的を考えて使われます。コロナの感染拡大予測などにも用いられますが、本当は人流というよりも動静によらず人の分布、特に「知らない人との接触」が本質的な情報であることをStay with Communityという原理を発見して証明しました。

  • 震央分布の構造変化の説明によって予兆を捉えるRESI指標を開発しました(2022.3現在は東南海の予兆のみあり大地震が未発生)。

《誰がどんなデータを持っているか? 誰が何を求めているか?》を示し、互いに満たしあう知と価値の連成の場です。

このような連成の場を生み出すイノベーションの場を構築することにより、大澤研究室では人々が必要としながら存在しなかったデータを設計し構築し、中身を公開できないデータまで合意の上で「共有」し、社会的要求にフォーカスを絞ってデータ分析する手法(対象世界のモデルとデータ解析・可視化アルゴリズム)、その結果に基づくビジネスシナリオ策定ツールとして必要な潜在データの検索技術も実現し、さらに新しいアルゴリズムの開発を進めています。実業界における非常に多くの企業とチームを作り、金融、POS、Webテキストや社内評価書、地震からスポーツデータまで幅広く対象とし、データからのチャンス発見へ、そしてその先にあるイノベーションへと繋げて来ました。

02新手法:フィーチャーコンセプトとデータリーフ ~データエコシステムに育つ知識~

  • 大澤研究室で生み出し研究してきたチャンス発見学では、データから事象(Event)、状況(Situation)、あるいは行為(Action)といったダイナミクスを捉え、特に人の意思決定・行為にとって重要となる事象、状況を捉え説明する手法を研究してきました。チャンスというのは、不確定性とか好機とかリスクとか様々な意味がありますが、ひっくるめて「何か行動を決める上で重要な事象・状況またはそれについての情報」と定義しています。これは、生地サンプル発注データの可視化と、これを見た繊維屋さんのマーケティングチームによる古~い(2003年ごろ)事例です。真ん中のコーデュロイ素材の生地はアパレル業者にとって、「働く女性が帰りに食事に立ち寄る服の素材」になっていて、帰りがけのOLさんが「ちょっと着替えて呑もう」と決め、アパレルさんが「新しい用途の服を作ろう」と決め、繊維屋さんが「左右の島を渡す生地を売ろう」と決める「橋」の役割を果たしています。この橋がチャンスです。

  • データの成分といえば、「年月日」「顧客ID」「商品」「商品カテゴリ」などの変数を思う人が多いでしょう。でも、変数というのはデータの中身つまり、事象(E: Event)や状況(S: Situation)や行為(A: Action)からなるみかん実ではなく、皮の成分にすぎません。いくら変数を並べても、データの価値は表せないのです。だから、データの利活用を有効なものにするためには、データを用いて見ようとする対象システムのダイナミクス(E+S+A)を、模式的な図として描くことが非常に大切です。そして、やってみると簡単に描くことができます。この図を、フィーチャーコンセプトと呼んでいます。

  • 実際のデータ分析や利活用では、フィーチャーコンセプトの図を覆うようなメタデータを集めるのです。以前は、データの持つ変数ラベル(VL)と主観的サマリー情報を主としたメタデータをデータジャケット(DJ)と呼び、DJのネットワークをKeyGraphやVLネットワークで可視化していました。DJの繋がりからデータの組み合わせ方を考えるためです。しかし、KeyGraphでの成功事例はまだまだ限られ(それでも金融、小売、地震、コロナなど多分野に及びましたが)、変数ラベルの繋がりからはイノベーションや新発見が起きた事例がほとんど残っていません。現在は、ひとつのデータセットに描かれたE+S+Aの連なりの葉脈のような構造を一枚に描くのがメタデータの役割だと考え、これが集まるとフィーチャーコンセプトを覆うことから、この新しいメタデータをデータリーフ(Data Leaf)と呼んでいます。

多様なビジネスプレイヤー(ステークホルダー)・データ・技術の相互作用によって動いていくデータ市場のには、必ずしも人の目的とは関係なく発生するデータもあります。

このように多様なデータの発生、流通、破棄などという現象によって繰り広がるデータ社会は、人工的な社会環境である以前に自然環境に近い生態系のひとつと捉えるのが適切でしょう。データのもたらす価値の多くの部分は、実はこの生態系における偶然の産物が含まれています。

この観点から、大澤研究室ではデータエコシステムの動態と進化、あるいは社会に対する正負の影響についてデータ市場学と自然科学の大きな合流点を目指して研究を推進しています。このシステムの中でデータリーフは、人が描くデータの利用価値を、AIの学習と可視化機能によって補填してゆくことによって進化してゆきます。そしてフィーチャーコンセプトとともに、人の描く社会が進化し、論理の木構造の先に新しい倫理や価値観を生み出してゆきます。

03【社会連携講座】データ連成イノベーションリテラシー(DFIL)

2022年4月から、大澤研究室、株式会社構造計画研究所、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社、アビームコンサルティング株式会社、株式会社トラストアーキテクチャは、相互に連携・協力し、「データ連成イノベーションリテラシー」を育てる研究・開発とその実証としての人づくりを行うことを目指し、社会連携講座を開設しました。

「データ連成イノベーションリテラシー」とは、データを利活用するあらゆる事業にとって、新事業を生み出し持続的に利益をあげる上で必須となる基礎的な情報処理能力を指します。

この社会連携講座では、まず、参加企業を中心とする事業者が様々な有用データを探索し、創造・設計し、そのデータの背景にある対象世界のモデルを作ってゆきます。

そのモデルを表出化しデータと結び合わせることにより、対象世界の変化を説明し、望ましい挙動とその変化を示すシステムやビジネスを実現してゆきます。

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